「ヴァルキュリア戦記」3 [Stellaris AAR]
驚異と危険に満ちた宇宙(~2230年代)
1.驚異との遭遇
非友好的な4つの隣接国に囲まれたヴァルキュリア神聖帝国にとって、拡張すべき道(ハイパーレーン)は南西方向にしか残されていなかった。
2227年。この唯一無二なフロンティアの探査に赴いていた帝国調査船「エンスマギド」は、ごくありふれた黄色矮星インパル・トーブを中心とする未知の星系に侵入した途端、消息を絶った。
「エンスマキド」船長ヤン=タルコウ博士が、最期に本国へ送信したデータに遺されていた映像を見て、どんな強敵をも恐れない勇敢な戦乙女たちは、驚愕と畏怖に慄いた。
インパル・トーブ星系にいたのは、伝説に謳われた巨竜「エーテルドレイク」だったのである。
この巨竜の容赦ない攻撃により、帝国に2隻しか存在しない調査船の1隻と、戦乙女にとって最も優秀な頭脳の持ち主の1人が喪われた。享年68歳。
2.国防計画
エーテルドレイクとの不幸な遭遇は、「この宇宙が危険に満ちている」という事実をヴァルキュリア首脳部に改めて思い出させた。あの超常的な宇宙生物については放置をするしかないとしても、すみやかに対処せねばならない脅威が他にある。孤立主義の軟体人たち=ヤル連邦である。
我が国が公然と宿敵宣言した事が決め手となって彼らとの関係は悪化しきっていた(友好度-200)が、未だ彼我の戦力は同等であり、もし侵攻を受ければ被害は甚大となる。
そこでヴァルキュリア帝国軍は、2230年代からヤル連邦との唯一の国境であるジプリム星系の要塞化を開始。同星系の宇宙港を「北東要塞」と名付け、可能な限りの射撃砲台と防衛ステーションの逐次設置を決定した。
3.第二の植民
仮想敵国ヤル連邦がすでに6つもの植民惑星を有している事実に遅まきながら気づいた女神帝ブリュンヒルデは、これまで入植になぜかひどく慎重だった政府植民局に自ら乗り込んだ。
実は、主星系ヴァルハラにほど近いスワー星系に、極寒型のうえにサイズ23もの大型惑星が存在することを殖民大臣から知らされた女神帝の怒りはすさまじく、その雷鳴のような叱咤に帝国全土が第二の植民に向けて奔走した。
そして、2236年9月。急造のコロニー船が広大な氷の大地に無事、着陸・展開した。わずかな危険生物の縄張りと1つの活火山帯がある他は、現状でも開発可能な素晴らしいこの新天地を、ブリュンヒルデ帝みずから惑星「オーディン」と命名。併せて、星系も「アースガルド」へと改名された。
4.楽園「パリダイダ」の発見
同じころ、現存する唯一の帝国調査船「エンシンマ」とその船長「メロン=ウブ・ロア」博士が、帝国領域中心部にあるオファング星系から西方に伸びる未発見のハイパーレーンの存在を偶然にもつきとめた。
現在の帝国で最も優れた科学者であり、60代になったばかりの勇敢な冒険家でもある彼とそのクルーたちが、このまったく未知の航路に果敢に飛び込んだところ、その先の星系には真っ青に輝く恒星と中性子星、そしてきわめて巨大なガイア型惑星が存在していたのだ!
伝説の楽園にちなんで「Paridayda(パリダイダ)」と名付けられたこの比類なく美しい星には、鉄器文明を持つ原始種族が生息しているらしい。
この空前絶後の大発見は、当事者であるメロン=ウブ・ロア博士の頭脳と精神にも多大な影響を与えたらしく、彼は「狂気的」(研究速度+5%)と「頑固」の特性を獲得した。帝国でもっとも偉大な科学者となった彼を、このまま危険な調査任務に携わらせておくべきではないと判断した帝立科学協会は、ウブ・ロア博士を下船させて主星フレイアの中央工学研究所のトップに据えることにした。
5.パリダイダ奇譚
ここで帝国首脳部は、この最高級の惑星を植民地にすべく地上軍を送り込んで原住民を侵略すべきだという軍部強硬派と、初めて邂逅した貴重な原始種族の生態を観察するために保護区にすべきだという穏健な科学者グループの2つに分かれて、議論を繰り返した。結局、折衷案として「侵略するにしろ保護するにしろ、まずは観察から」と、軌道上に地表観測衛星が建設されることになった。
だが、惑星パリダイダのあるエルダーラック星系に到着した建設船「ヤンダーリ」は、これまで遭遇したことのない知的哺乳種族から突然の緊急通信を受けた。その「ヴォル」と名乗る謎の存在は、パリダイダに生息する無力な原始種族が「マルダク」という危険な菌類に寄生されており、自分たちが一刻も早く駆除するべきだというのだ。
この想像を絶する不可解な事態に、老練な(すでに齢68を迎えている)女神帝ブリュンヒルデもさすがに決断を下しかねた。しかし、彼女は「国家の純血」を目標に掲げる異星種族嫌いでもある。自種族の安全が脅かされる可能性がほんの僅かでもあるなら、原始的な異星生物の運命など取るに足らない事柄だった。
パリダイダの原住民は一掃され、謎の知的哺乳類ヴォルはこちらの問いかけに一切答えず姿を消した。残ったのは、以前と変わらぬ美しさを誇るガイア惑星のみ。
あまりに不気味な顛末に、あらゆる階層の戦乙女たちがこの“楽園”への入植にためらいを覚えたが、ブリュンヒルデ帝からの再度の一喝によって新たに建造されたコロニー船が、無人の地表に静かに降り立った。
2240年。当初の不安をよそに、戦乙女たちは惑星パリダイダで順調に生命を育んでいる。今のところ、異変らしき兆候は一切見られない。
今のところは。
1.驚異との遭遇
非友好的な4つの隣接国に囲まれたヴァルキュリア神聖帝国にとって、拡張すべき道(ハイパーレーン)は南西方向にしか残されていなかった。
2227年。この唯一無二なフロンティアの探査に赴いていた帝国調査船「エンスマギド」は、ごくありふれた黄色矮星インパル・トーブを中心とする未知の星系に侵入した途端、消息を絶った。
「エンスマキド」船長ヤン=タルコウ博士が、最期に本国へ送信したデータに遺されていた映像を見て、どんな強敵をも恐れない勇敢な戦乙女たちは、驚愕と畏怖に慄いた。
インパル・トーブ星系にいたのは、伝説に謳われた巨竜「エーテルドレイク」だったのである。
この巨竜の容赦ない攻撃により、帝国に2隻しか存在しない調査船の1隻と、戦乙女にとって最も優秀な頭脳の持ち主の1人が喪われた。享年68歳。
2.国防計画
エーテルドレイクとの不幸な遭遇は、「この宇宙が危険に満ちている」という事実をヴァルキュリア首脳部に改めて思い出させた。あの超常的な宇宙生物については放置をするしかないとしても、すみやかに対処せねばならない脅威が他にある。孤立主義の軟体人たち=ヤル連邦である。
我が国が公然と宿敵宣言した事が決め手となって彼らとの関係は悪化しきっていた(友好度-200)が、未だ彼我の戦力は同等であり、もし侵攻を受ければ被害は甚大となる。
そこでヴァルキュリア帝国軍は、2230年代からヤル連邦との唯一の国境であるジプリム星系の要塞化を開始。同星系の宇宙港を「北東要塞」と名付け、可能な限りの射撃砲台と防衛ステーションの逐次設置を決定した。
3.第二の植民
仮想敵国ヤル連邦がすでに6つもの植民惑星を有している事実に遅まきながら気づいた女神帝ブリュンヒルデは、これまで入植になぜかひどく慎重だった政府植民局に自ら乗り込んだ。
実は、主星系ヴァルハラにほど近いスワー星系に、極寒型のうえにサイズ23もの大型惑星が存在することを殖民大臣から知らされた女神帝の怒りはすさまじく、その雷鳴のような叱咤に帝国全土が第二の植民に向けて奔走した。
そして、2236年9月。急造のコロニー船が広大な氷の大地に無事、着陸・展開した。わずかな危険生物の縄張りと1つの活火山帯がある他は、現状でも開発可能な素晴らしいこの新天地を、ブリュンヒルデ帝みずから惑星「オーディン」と命名。併せて、星系も「アースガルド」へと改名された。
4.楽園「パリダイダ」の発見
同じころ、現存する唯一の帝国調査船「エンシンマ」とその船長「メロン=ウブ・ロア」博士が、帝国領域中心部にあるオファング星系から西方に伸びる未発見のハイパーレーンの存在を偶然にもつきとめた。
現在の帝国で最も優れた科学者であり、60代になったばかりの勇敢な冒険家でもある彼とそのクルーたちが、このまったく未知の航路に果敢に飛び込んだところ、その先の星系には真っ青に輝く恒星と中性子星、そしてきわめて巨大なガイア型惑星が存在していたのだ!
伝説の楽園にちなんで「Paridayda(パリダイダ)」と名付けられたこの比類なく美しい星には、鉄器文明を持つ原始種族が生息しているらしい。
この空前絶後の大発見は、当事者であるメロン=ウブ・ロア博士の頭脳と精神にも多大な影響を与えたらしく、彼は「狂気的」(研究速度+5%)と「頑固」の特性を獲得した。帝国でもっとも偉大な科学者となった彼を、このまま危険な調査任務に携わらせておくべきではないと判断した帝立科学協会は、ウブ・ロア博士を下船させて主星フレイアの中央工学研究所のトップに据えることにした。
5.パリダイダ奇譚
ここで帝国首脳部は、この最高級の惑星を植民地にすべく地上軍を送り込んで原住民を侵略すべきだという軍部強硬派と、初めて邂逅した貴重な原始種族の生態を観察するために保護区にすべきだという穏健な科学者グループの2つに分かれて、議論を繰り返した。結局、折衷案として「侵略するにしろ保護するにしろ、まずは観察から」と、軌道上に地表観測衛星が建設されることになった。
だが、惑星パリダイダのあるエルダーラック星系に到着した建設船「ヤンダーリ」は、これまで遭遇したことのない知的哺乳種族から突然の緊急通信を受けた。その「ヴォル」と名乗る謎の存在は、パリダイダに生息する無力な原始種族が「マルダク」という危険な菌類に寄生されており、自分たちが一刻も早く駆除するべきだというのだ。
この想像を絶する不可解な事態に、老練な(すでに齢68を迎えている)女神帝ブリュンヒルデもさすがに決断を下しかねた。しかし、彼女は「国家の純血」を目標に掲げる異星種族嫌いでもある。自種族の安全が脅かされる可能性がほんの僅かでもあるなら、原始的な異星生物の運命など取るに足らない事柄だった。
パリダイダの原住民は一掃され、謎の知的哺乳類ヴォルはこちらの問いかけに一切答えず姿を消した。残ったのは、以前と変わらぬ美しさを誇るガイア惑星のみ。
あまりに不気味な顛末に、あらゆる階層の戦乙女たちがこの“楽園”への入植にためらいを覚えたが、ブリュンヒルデ帝からの再度の一喝によって新たに建造されたコロニー船が、無人の地表に静かに降り立った。
2240年。当初の不安をよそに、戦乙女たちは惑星パリダイダで順調に生命を育んでいる。今のところ、異変らしき兆候は一切見られない。
今のところは。
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