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「ヴァルキュリア戦記」14 [Stellaris AAR]

内患に憂う年月(2278~2281年)

1.恐れていた事態
 オクシナベラ啓蒙君主国とツムバルト自由戦士団との戦いが無事に終わり、ヴァルキュリア全土がホッと息をついていた、2278年12月7日。今度は、国内から新たな危機が出現した
 若手貴族を中心にひそかに勢力を増していた平等主義者たちが、ついに政治派閥を公式に結成。敢然と、現在の帝政と階級社会への非難を表明し始めたのである!
平等主義派閥.jpg
 戦さであれば堂々と受けて立つ覚悟があるヴァルキュリア宮廷も、神帝の権威に楯突く勢力が身内から現れたこの椿事に、かなり動揺していた。なんといっても、ヴァルキュリア神聖帝国が宇宙に進出してからこの方、初めての反政府政党なのだ。
 彼らを支持する貴族は最初こそ1popにすぎなかったが、派閥結成の翌月にはいきなり5popまで急成長したため、今まで世襲による権力の真綿にくるまって安穏としていた門閥貴族の連中は「ついに我が国にも市民革命がッ!?」とパニックに陥った。
 「すべての国民は、その生まれや職業によらず等しい権利を持ち、国家により自由を束縛されてはならない」という彼ら平等主義派閥の思想は、明らかに「桜ケ丘高校けいおん部」の女子高生たちの受け売りだった。
 かの国と友好を保つために結んでいた研究協定と移民条約のせいで、民間レベルでの交流もこの10年あまり盛んとなっており、生まれついてのカリスマ性を持つ魅力的な種族である女子高生たちの甘言に、無骨でやや単純な面がある我ら戦乙女の若い貴族たちはコロッと感化されてしまったのだろう。
 彼ら平等主義者たちが名乗っている派閥名称が、けいおん部の与党「完全参政権委員会」をそのまま真似ている所など、いっそ可愛げがあると言っていい。

 しかも、皮肉なことに「ヴァルキュリア完全参政権委員会」の代表者は、旧ミッリア領セクターの総督であるトロッド=ウプ・ロアであった。
 読者は覚えておいでだろうか? “ハッスル鬼ばばあ”の悪名で知られた老総督「イェファ=デン・メデ」の跡を継いで、無数のミッラン人奴隷への容赦ない管理を任された挙句、そのストレスで薬物中毒になったあの男である。
 中毒を理由に解任されそうになった時、涙ながらに続投を訴えて今上帝キーアⅡ世から寛大なお許しを得たというのに、そのご恩をこのような形で返したトロッド=ウプ・ロアの裏切りに、宮廷中が怒り狂ったのも無理はない。
 だが、キーアⅡ世とその側近だけは冷静だった。こういう事態は、かなり前から予測していたのである。だからこそ、ウプ・ロア総督の身辺には密偵が送り込まれており、彼と密書を交わす不審な若手貴族たちの名は、“反乱分子”としてすでにリストアップしてあったのだ。
 反乱分子どもは、惑星オーディンに集中していた。キーアⅡ世の御名の下に「神帝親衛隊」がオーディンに密かに送り込まれ、その軍靴が真夜中に反乱分子どもの邸宅へと次々に踏み込んだ
 けいおん部との外交問題に発展せぬよう、事はあくまでも秘密裏に遂行する必要があった。忠義もの揃いの神帝親衛隊は、機密性を守るには最高の暴力装置だが、今回のような大規模検挙を実施するには人数が少なかった。相手は、腐っても武勇名高き戦乙女の貴族である。逮捕する側にしても命がけなのだ。
 懸念の通り多大な犠牲を出しながらも、親衛隊はその忠誠心をしっかり証明してみせた。逮捕者全員とその家族は、ねつ造された様々な犯罪容疑・醜聞など理由に貴族特権をはく奪され、人目につかぬよう分散して各地の強制労働キャンプへと送り込まれていった。惑星オーディンだけでは送り込み先が不足していたので、一部の者たちはわざわざ大金をかけて用意された秘密護送船で、劣悪な居住環境の惑星へと運ばれていった。

 こうして、結成からわずか1年たらずで、ヴァルキュリア完全参政権委員会は静かに消滅した
 徹底した箝口令が敷かれたために表立って口にする者はいないが、派閥代表者だったトロッド=ウプ・ロアはそのまま総督職を続けており、一切のお咎めがないことに多くの者が首を傾げた。
 だが、今回キーアⅡ世とその側近たちが見せた鮮やな対処の内情を良く知る高官たちには、その意図がよく理解できた。「あのヤク中総督をこのまま泳がしておくことで、今後も国内の反乱分子どもの動向を把握しよう」というコトなのだと。

 ヴァルキュリア神聖帝国の華々しい栄光は、このような暗い陰謀によって裏で支えられているのだ。

2.厄落とし
 後味の悪い内紛劇で幕を下ろした2279年の厄を落とすべく、ヴァルキュリア帝室は2280年1月1日に壮大なイベントを敢行すると発表した。ヴァルキュリア全土のすべての居住惑星で一斉に開催される「諸惑星の祭典」である。
 この一大ページェントは、ヴァルキュリア領内ヒリム星系の居住ステーションに古くから棲みついている不思議な工匠集団「ヒッサマ人」の中立機構から提案されていた企画だった。どこの星間国家にも属さず、超古代文明時代の「匠の技」を現在まで受け継いできた彼らの創り出す芸術作品は、種族や文化を超越してこの銀河に生きるありとあらゆる知的生命体の心を揺さぶる普遍性を有しているのだ。
 ヒッサマ人のやや享楽的な芸術気質(軽いノリ)に眉をひそめる戦乙女神官も多く、なにより彼らに芸術活動をオファーするとやたら莫大な予算を要求するので、ヴァルキュリア政府としては今まで彼らの事は奇人扱いして無視していたのだが、危険思想にかぶれていたとはいえ多くの同胞を社会的に誅殺したことで少なからず心を痛めていた今上帝キーアⅡ世は、思い切って彼らの壮大な企画に乗ってみることにした。
20180928131127_1.jpg
 ヒッサマ人がはじき出した祭典の費用は、なんとエネルギー通貨5,000という天文学的な額であった。これは、現在のヴァルキュリア全軍の維持費の20ヶ月分にも相当し、払ってしまえば今の国庫はほとんどカラとなる。
 宮廷の側近から、政府閣僚、軍高官、研究機関の科学者たちまでが総出で反対したが、キーアⅡ世の決断は揺るがなかった。「この先5年間は、あらゆる階層の臣民の皆さんが幸福に包まれるでしょう」というヒッサマ工匠集団長「フフラッガ」の自信に満ちた説得が、陛下の傷心に沁みたのかもしれない。大勢の奴隷の汗と涙、数知れぬ軍人たちの流血と引き換えに維持されてきたこの神聖帝国には、いまこそ歓楽のひと時が必要なのである。
 11の惑星のそれぞれの夜空を華麗極まる花火がはじけ飛び、このときばかりは身分の区別なしに配られた無尽蔵の美酒とご馳走を堪能しながらショーを楽しんむ戦乙女、ミッラン人、オクスブラキたち総勢132popは、みな心を空にしてヴァルキュリア神聖帝国の来たるべき2280年代を祝った。
 この苛酷にして弱肉強食のこの銀河にあっては、信じられないほど平和で幸せなひと時だった。

3.銀河帝国への第一歩
 祭典初日の成功に気を良くしたキーアⅡ世は、政府・軍の首脳部とかねてより打ち合わせていた新たな戦争計画を発表した。
 宇宙進出当初からの宿敵「ヤル連邦」に、ついに引導を渡すのである。

 しかも、今回はただの領域征服戦争ではない。引きこもりイソギンチャクことヤロニアンの星系・惑星をいくらか奪うと同時に、彼らの政府を屈服させて「従属国」として我々に仕えさせようというのだ。
 我らヴァルキュリアは、現人神である神帝に貴族たちが服従し、その貴族たちに奴隷たちがまた服従する「封建制」国家である。ミッラン人たちのように領域すべてを征服しつくして直接の支配下に置く苦労を避けて、国家丸ごとを神帝に服従させるのがヴァルキュリアにとっての王道なのだ。
 加えて、他国の政府存続と異星人による“種族自決”を認めたまま間接支配するやり方は、これまでヴァルキュリア政府の手を煩わせてきた外交問題を回避することにつながる。領域の請求権を諸外国に新たに認めさせる必要はなく、単純な征服による領域拡大よりも隣国が我々を脅威と感じる衝撃がずっと少ないのだ。主義が正反対の桜ケ丘けいおん部やゼスイナクス同盟との友好関係の維持に冷や汗をかき続けていた外交筋も、これならば苦労が減るだろう。
 「すべての星間国家を丸ごと支配下に置く銀河帝国」というヴァルキュリアの夢。その第一歩がようやくスタートするのである。

 かくして、2281年1月8日。ヴァルキュリア神聖帝国は、ヤル連邦に対して「進貢国」となるよう要求を突きつけた。エネルギー通貨と鉱物収入のわずか35%を神帝に献上するだけで、現在の国体の存続をそのまま認めるばかりか、凶悪な他国による侵略から保護までしてやろうという、実に寛大な申し出である。
 しかし、愚かなヤロニアンたちは、これを即日拒否。それどころか我々への敵意を剥き出しにした。
20180928132605_1.jpg(怒るのはあたりまえです。)

 そのため、女神帝キーアⅡ世はしかたなく、同日にヤル連邦への宣戦布告を決断。
20180928132642_1.jpg(ここまできて「なぜ?」もないだろう)

 戦乙女たちは、常に熱望してやまない戦争という名の祝祭に突入したのである。
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Stevmeds

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by Stevmeds (2019-10-22 04:41) 

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