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「ヴァルキュリア戦記」10 [Stellaris AAR]

戦争の合間に(2270~2271年)

1.個性的なリーダーたち
 オクシナベラ-クリサッカン同盟との戦争の真っ只中にあった、2267年10月6日。帝国政界の長老にして旧ミッリア領セクター総督のハッスル鬼ばばあイェファ=デン・メデ女史が、108歳で大往生していた
 後任には、デン・メデ女史の弟子にして、2253年にあの楽園パリダイダを発見した偉大な船長メロン=ウブ・ロアの親族でもある「トロッド=ウブ・ロア」氏が任命された。師匠ゆずりの断固たる奴隷酷使を持って知られる、若きエリート政治家である。
 しかし、6惑星もの広大なセクターと、そこにひしめく46popもの怒れるミッラン人奴隷(帝国の全人口の実に39%に及ぶ!)を統治するのは、並大抵の苦労ではなかったようだ。任官から3年後の2270年8月11日、女神帝キーアⅡ世はウブ・ロア総督がストレスを和らげるための薬物を乱用するようになったと報告を受けた。トロッド総督がヤク中に.jpg
 主星ヴァルハラにいたころはハンサムで有名だった45歳の彼の容貌は、薬物のせいで70近くに見えるほど老け込んでしまっているという。
 この痛ましくも外聞の悪い報告に彼の解任案も浮上したが、本人が断固として続投の意思を示したため、キーアⅡ世はそれを許した。本人がおのれの命を削ってまで帝国に尽くしたいというのなら、最期の日までその献身を尊重しよう

 ミッラン・ヘルヴァンの両宿敵との戦争は、帝国宇宙軍を担う新旧ふたりの提督たちにも変化をもたらしていた。
 ガーネット艦隊のトリックスター提督ことドルン=タル・オルンは、自艦隊がずっと本国の守りとして母港に留め置かれていっさい戦闘に参加できなかった事にふてくされて、無気力になってしまっていた。
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 もともと軍司令部や先任のインルー=デン・ハロ提督に対して反抗的なそぶりが多かった彼だが、今ではその傾向がいっそう顕著になっている。だが、補給品を能率的にやりくりして艦隊維持費を抑える彼の手腕は並ぶものがなく、キーアⅡ世は反対の声を押し切ってこのトリックスターの続投を決定した
 一方、帝国宇宙軍がまだ10隻に満たないコルベット艦の寄せ集めに過ぎなかった2220年代初期から黙々と職務を果たし続けていたインルー=デン・ハロ提督は、80歳をすぎた老境にあってもなお成長をとげていた。長距離センサー技術に関する優れた専門家になっていたのである。
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 テクノロジー研究の分野では、ドルン=ウプ・クーヌ博士が「天才」の名声を欲しいままにしていた。主に宇宙物理学の研究に携わる彼は、時おり天啓のようなひらめきを得ることでパイバーレーン航法に関する種々の発見や、重力変動を感知する新世代センサーを実用化してきた実績がある。
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 現在かかわっている新型主力兵器「X線レーザー」の開発は軍事国家ヴァルキュリアにとって最重要の研究プロジェクトだが、66歳にして少年のような好奇心のオーナーであるウプ・クーヌ博士にとっては、少々退屈な仕事であるらしかった。

2.発光体が巣くう深淵
 そんな天才ウプ・クーヌ博士の発明した重力センサーは、旧ミッラン領域の最北端ルーラン星系の東方で、奇妙なエネルギー存在を感知した。センサー技術を熟知したインルー=デン・ハロ提督がアメジスト艦隊の全索敵能力をあげて遠隔スキャンしたところ、「ホーキングの眼」と呼ばれるブラックホール付近に「ボイドクラウド(虚空の群雲)」という巨大な純エネルギー生物が4体も発見されたのだった。
 ホーキングの眼には、超古代文明のものと思しきリング状の超巨大構造物の残骸が遺っており、他にも何かしら文明の痕跡が残る高濃度放射能に覆われた死の星が2つ存在している。
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 宇宙考古学者にとって垂涎の星域であるが、調査するにはそこに居座るボイドクラウドを排除しなければならない。なにより、ボイドクラウドそのものが貴重な研究対象であった。

 専門家によると、ボイドクラウドは極めて攻撃的かつ強力な生物であり、4体の群れの戦力評価値は4,000。アメジスト艦隊にとって一回りほど下の戦力であるものの、あちらからは襲ってこない存在をただ知的好奇心のために攻撃して、貴重な艦船と熟練クルーたちにもし大きな被害が出てしまっては元も子もない。
 ここで、X線レーザーの開発に飽き飽きしていたウプ・クーヌ博士が、ボイドクラウドの生態分析に飛びついた。彼はデン・ハロ提督から送られた豊富なスキャンデータから、ボイドクラウドは強力なエネルギーシールドでその身を守っている一方、実体的な装甲をまったく有していないと結論づけた。つまり、レーザー兵器に対しては頑強だが、実体弾兵器には脆弱ということだ。
 そこで帝国軍司令部は、レーザー兵器主体だったアメジスト艦隊の全駆逐艦・コルベットの武装を、コイルガン主体に換装することに決定した。この改装駆逐艦・コルベットはそれぞれ「クラウドバスター級」「クラウドチェイサー級」と呼称され、ミッラク星系の造船所に入渠したアメジスト艦隊45隻は半年たらずでその装いを新たにした。

 2270年12月、アメジスト艦隊はホーキングの眼へと出撃した
 殺到してくる闖入者に対して、ボイドクラウドは禍々しい青い電撃を放ってきた。
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 アメジスト艦隊も、ありったけの実体弾とミサイルで応射する。
20180915025234_1.jpg(コルベット群によるミサイル一斉射を、ボイドクラウドのシールドが防いでいる。画面右下の白い光球がボイドクラウド。)
 分厚いシールドにひるむことなく敵に肉薄したヴァルキュリア艦艇は、巨大な相手の周囲を軽快に飛び回りながら連射を続けた。
20180915025503_1.jpg(電撃を躱しながらの旋回機動で戦うクラウドバスター級駆逐艦。手前に見えるのは古代の環状構造物の破片。)
 そして2271年4月7日に、最後の1体を破壊したのである。
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 回収された残骸を、ウプ・クーヌ博士ら特別研究チームが分析することによって、物理学にとって非常に重要で新しい知見が得られた。常人にはにわかに信じがたい謎に満ちたこの知見は、この先数百年もの間、色あせることなくヴァルキュリアの物理学研究に刺激を与え続けることだろう。
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