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「ヴァルキュリア戦記」5 [Stellaris AAR]

戦乱の幕開け(2250~2253年)

1.イデオロギー戦争
 2251年8月。我が国の北西を支配している科学軍事帝国ミッリア星域(ナナフシ)が、他国との戦争に突入したという急報が星々を駆け巡った。
 FTL文明同士による、銀河初の星間戦争がついに勃発したのである。
 ミッリア星域の対決相手は、西の大国「桜ケ丘高校けいおん部」。平和と平等主義の理想を掲げる彼女たちならば、強権的なミッリアの標的にされても不思議ではないと納得しかけた大勢の人々は、宣戦布告をしかけたのは他でもない女子高生たちの方だと知らされて、啞然とするしかなかった。
 重ねて言うが、けいおん部は平和主義を建国理念のひとつとしているため、他国への侵略を自ら禁じている。そんな彼女たちに許された開戦事由はただひとつ、イデオロギー戦争である。つまり、彼女たちの理想に反する圧政を敷く他国政府を打倒して、その国の民に自由と平等をもたらそうという解放戦争なのだ。
 この戦争に全面勝利しても、けいおん部が新たな領土や戦利品を獲ることはない。あえて利益といえるのは、今まで敵対国だった隣接国が、思想がまったく同じ友好国に生まれ変わる点だ。いわば正義の押し付けである。
 根っからの軍事国家であるヴァルキュリアにとって、みずからの正義のためだけに流血さえも選ぶけいおん部の情熱は、ひたすらに不可解だった。

2.チャンスを逃さぬために
 だが、女子高生たちの不可解な哲学はさておいて、この予想外の展開は我が帝国にとってまたとない好機の到来とも言えた。けいおん部に便乗してヴァルキュリアもミッリア星域に宣戦布告をすれば、その領土を比較的楽に奪えるのである。
 ハイエナのごとき無節操で野蛮なこの考えは、女神帝ブリュンヒルデの御前会議において全会一致で支持された

 仮想敵国ヤル連邦(イソギンチャク)との戦争に向けて増強されていた宇宙軍は、そのすべてがミッリア連邦との国境へと配置転換された。万が一、ヤル連邦がその引きこもり根性を捨ててこちらに侵攻してきたとしても、彼らとの国境はあの北東要塞が防備している。軍事力のみに特化したアップグレードを重ね、9基もの防衛プラットフォームでその周囲を固めた北東要塞であれば、平和主義者の貧弱な艦隊くらいは単独で食い止められるだろう。
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 続いて、ミッリアの惑星を占領するための地上軍の編成が大急ぎで開始された。時間的な猶予がないため、地上軍のすべては短期間で編成可能な奴隷兵で構成されることが決定した。
 ヴァルキュリア全土の奴隷処置施設が狩り集めたおびただしい人数の戦乙女奴隷たちは、苛烈な軍事教練によって即席の陸戦兵に仕立て上げられていった。
 その結果、わずか2年半で実に15個連隊もの強襲陸戦部隊が誕生し、“棺桶”と揶揄される急造の輸送艦にそれぞれ詰め込まれては、遥かなる戦地へ向けて送り出されていった。
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3. ハイエナ参戦を正当化するために
 軍部と同じくらい、ヴァルキュリアの外交官たちも戦争に向けた準備を怠らなかった。
 まず、ミッリア星域を宿敵とみなす旨を、高らかに宣言した。ミッラン人たちはその節足をガチガチと鳴らして怒りを露わにしたが、目的は彼らを怒らせることではなく、彼らの敵である女子高生たちとの友好関係を新たに築くことにあった。
 あからさまにも見える帝国外務省の作戦はいちおう成功し、けいおん部は政府志向がまるで正反対であるはずのヴァルキュリア神聖帝国のことを、警戒しつつも決して敵ではないと認めはじめた。
 相手の態度が軟化したタイミングを逃さず、帝国外務省が不可侵条約の締結を申し入れると、けいおん部はあっさりとこれを受諾。共通の敵さえいれば、主義主張を越えた協調は可能なことが見事に証明されたのである。
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 帝国外務省の次なる課題は、ミッリア星域が保有する星系や惑星への「請求権」を確保することだった。
 武力によっていくら敵国の星系や惑星を占領しても、その正当性が諸外国政府や自国の政治勢力に承認(せめて黙認)されなければ、戦後に所有権を維持するのは難しい。たとえば狂信的な浄化主義者のような国際社会に完全に背を向けた無法国家でない限り、単に武力だけでは他国の領域は切り取れない。事前の政治的工作が必要なのだ
 基本的には、長い年月をかけて仮想敵国の星系ひとつひとつの請求権を徐々に増やしていくのが王道であるが(現に、我が帝国もヤル連邦相手にそれを行っていた)、今回のように急に侵略計画が持ち上がった場合には、せっかちで強引な外交手腕が必要となる。
 幸いにも、女神帝ブリュンヒルデには、それを可能にする影響力があった。半世紀にわたる長い治世の中で、初期の領域拡大時代を除けば彼女自身が政治介入することはほとんどなく、その穏やかで安定した統治期間は、各方面に対する信頼や貸しを貯め込む結果を生んでいた。その政治的な貯蓄を一気に吐き出すことで、老女帝はミッリア領内の実に8星系と3惑星もに対する請求権をごく短期間で獲得したのである。
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 軍事・政治両方の準備は、これですべて整った。

4.開戦
 2253年1月3日。ヴァルキュリア神聖帝国はミッリア星域に対して宣戦布告した。
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