「ヴァルキュリア戦記」8 [Stellaris AAR]
次なる戦争に向けて(2260~2265年)
1.周辺の敵たち
2260年、現在。我々ヴァルキュリア神聖帝国は4つの敵対国に囲まれていた。
(緑色でハイライトされているのが敵国。)
それぞれの脅威を、順に確認していこう。
①ヤル連邦
北東で接する、ひきこもりイソギンチャク。ゲーム開始すぐから、ずっと敵対関係を続けている昔なじみ。
9つの惑星に84popの人口と、なかなかの国力を有している。
しかし、我々と比較してその艦隊戦力は「悲惨」であり、加えて彼らと国境を接する唯一の星系は、蛮族艦隊をも単独で退けたあの北東要塞が守っている。放置して良いだろう。
以前、我々の侵略目標としていたこともあり、その際に8惑星の請求権を作成していた。その気になれば残りの1惑星を追加請求してから侵略し、滅ぼしてしまう事も可能だ。
②オクシナベラ啓蒙君主国
我が国の西隣で、強い存在感を放つ覇権帝国。首の長いリトルグレイ。
まだ人口は89popだが、実に11もの惑星を所有しているので、これから国力を増大させる恐れがある。艦隊戦力もこちらと比べて「劣等」と、けっして油断はできないレベルだ。
2230年代後半から、我々の持つ星系の請求権をたびたび主張してきており、隙あらばこちらを侵略する意図があるのがありありと見える。ムカつく。
だが、もし彼らに宣戦した場合、彼らが防衛協定を結んでいる「星間クリサッカン理事会」という同等国とも、同時に戦わなくてはならなくなる。現状、ちょっと手が出せない。
③ミッラン国民連邦
北方に位置する、問題の新生民主主義国。ナナフシ虫人。
わずか2惑星(22pop)の小国だが、南のヘルヴァン(科学ダチョウ)と軍事同盟を組むわ、西のオクシナベラ(リトルグレイ)と不可侵条約&研究協定を結んでいるわと、明らかに我が国に対する包囲網を形成しようとしている。
④ヘルヴァン連邦制コロニーズ
我が国と南東で接する、異星人嫌いの科学ダチョウ。
一見、広い領土を持っているが、惑星は5つで人口64popとやや見かけ倒し。艦隊戦力比も「悲惨」。ただ、狂信的な物質主義者なので、テクノロジーレベルはなかなかのもの。
北のミッラン国民連邦と軍事同盟を結んでいるので、彼らと戦争になれば、我々は南北二面作戦を強いられることになる。
2.大方針会議
2261年1月。新年を祝う恒例の宗教行事を終えたヴァルキュリア首脳部の閣僚たちは、今後の国家方針を定めるための御前会議に出席していた。
帝国にとって目下の最大懸念は、ミッラン国民連邦を中心に形成されつつある対ヴァルキュリア包囲網である。すでに結成されたミッラン-へルヴァン同盟に、オクシナベラも参加するようなことがあれば、三方からの圧力に我が国は身動きがとれなくなるだろう。
先手をとって、この3ヵ国のどれかを叩かねばならない。
その背後に強力な同盟国をすでに確保しているオクシナベラ啓蒙君主国との戦争はリスクが高すぎるため、必然的にミッラン-へルヴァン同盟への攻撃計画が検討された。あの2ヶ国の艦隊戦力であれば、同時に両方を相手取ることは十二分に可能だと考えられる。
しかし、南北二面作戦に艦隊を派遣してがら空きとなったヴァルキュリア領域を、オクシナベラが西から侵攻してくる危険があった。かの国は、現に我々の領土に対する野心を露わにしている。先の戦争にて、艦隊の留守を蛮族に襲撃された苦い経験から、本国に戦力を残さない戦争計画には誰しも抵抗を抱いた。
そのとき、静かに会議を見守っていた女神帝ラトゥⅠ世が、おもむろに口を開いた。「では、ここに新たな要塞を築きましょう」と。彼女が星図で指し示したのは、ヘルヴァン連邦制コロニーズと我が国をつなぐ唯一の航路上にある星系だった。赤色巨星シルマーを中心とするその星系に大要塞を築けば、それだけでちょうどヤル連邦に対する北東要塞のような確固たる防備となる。
そのカリスマ性ばかり讃えられがちなラトゥⅠ世だが、実は防衛施設に関する深い知識と理解を持った「築城家」という一面もあった。そんな彼女らしいユニークな提言に、閣僚と軍高官たちは膝を打った。
ヘルヴァン領への侵略を今回は諦めることで南方に戦力を割かずにすむのなら、北のミッランに侵略艦隊を派遣しても、なお多くの艦隊が本国に残せる。西への睨みを利かせながら、ミッランの全2惑星とできる限りの星系を占領して素早く和平調停すれば、オクシナベラに我々に手を出す隙を与えることなく、ミッラン国民連邦を滅ぼすことができる。
この戦争計画は、畏れ多くも女神帝陛下の御名をお借りして「ラトゥⅠ世プラン」と名付けられた。
3.軍備拡張
御前会議から約半年後の、2261年7月。シルマー星系にて基礎的な宇宙港が完成し、「南東要塞」と命名された。
まだ射撃砲台も防衛プラットフォームの皆無の裸城なので、“要塞”と呼ぶのは気恥ずかしさがあったが、あと5~6年もすれば北東要塞に匹敵する規模となるだろう。
その時、ヴァルキュリアは再び侵略の狼煙を上げるのだ。
シルマー星系の要塞構築と同時に、それまで予備戦力だった第2艦隊は「ガーネット艦隊」と改称され、新任の「ドルン=タル・オルン」提督の指揮の下で、正規艦隊として戦力増強を開始した。
ドルン=タル・オルン提督は、48歳の男盛りである。アメジスト艦隊のインルーデン・ハロ提督も、兵站を重要視している点では彼と意見が合ったが、ずっと慎重な戦術をモットーとしてきた彼女にとって、考えが奇襲や奇策にすぐ走りがちなこの後任提督の登場は、心配のタネになりそうだった。
4.対けいおん外交
周囲を敵に囲まれている我が国にとって、数少ない友好国の1つである桜ケ丘高校けいおん部はかけがえのない存在だ。
彼女たちは、西のオクシナベラ(リトルグレイ)を共通の宿敵とする盟友である。帝国外務省は、2250年から省内に専門の部署「けいおん局」を設けて最高の人材を配置し、2251年に不可侵条約の、2256年に移民条約の締結を成功させてきた実績がある。
移民条約については、我々は臣民の自由な移民を一切認めていないし、戦乙女以外の異種族はすべて奴隷身分と規定しているヴァルキュリア帝国などに自分から移民してくるけいおん部国民もいるはずがないから、実際は有名無実化している。しかし、移民のやりとりこそないもの、それ以外の民間レベルの国際交流は着々と増えていて、それが両国の異質な文化の相互理解を着実に深めてくれていた。
その甲斐あってか、2260年6月にはけいおん部から研究協定のオファーがあり、我々もありがたく承諾した。
これら3協定のよって、けいおん部から我が国への「信頼」関係は現状望める最大のものとなった。
そこで帝国外務省は、最終目的である防衛協定を打診したのだが、これには承諾を得られなかった。なぜなら、けいおん部が例のイデオロギー戦争が勃発させる直前に、ゼスイナクス同盟(けなげなワシ)と結んだ防衛協定がまだ持続しているからだった。2カ国との防衛協定を同時に抱えることは政治的負担があまりにも大きいのだ(影響力の月産が-2になってしまう)、
けいおん部と防衛協定があれば、オクシナベラが我々に手を出す危険性は完全になくなるのだがが、両国の関係が「親密」になった現状だけで満足するしかないだろう。もしオクシナベラが我が国に宣戦布告をしてきた場合、けいおん部やゼスイナクス同盟から援軍を派遣して貰える可能性はそれなりに高いのだ。
ミッラン国民連邦の2惑星に対する請求権を主張する際も、我々はけいおん部政府の顔色を慎重にうかがった。なにせ、ミッランの持つ惑星すべてを請求するということは、けいおんが丸8年もの戦争を経て成立させた民主主義国家を、我々が滅ぼす意図があると暗示しているようなものなのただ。
幸いなことに、けいおん部の女子高生たちは、我々の意図をしぶしぶ黙認するようだった。彼女たちが正義の旗のもとに与えた完全に平等な社会も、貴族制に慣れ切った保守的なミッラン人たちには受け入れがたい異質の文化でしかなく、急に戦争をしかけてきて国土を蹂躙した女子高生に対する種族的な怨恨をさらに濃くするだけに終わっていた。
これならばいっそ、ミッラン人になじみのある貴族制であるヴァルキュリア神聖帝国が彼らを統治した方が、ミッラン人の民族意志に適うとは言えないだろうか?
帝国外務省けいおん局の外交官たちはそのような詭弁を弄して、異種族の文化・哲学を強く尊重する女子高生たちのメンタリティーに訴えかけたのだ。
倫理的な理屈抜きでも、けいおん部にとっても宿敵であるオクシナベラと急速に関係を深めつつあるミッラン国民連邦は、女子高生たちが信用できる相手ではなくなりつつあった。同じ政体のミッランより、まったく正反対のヴァルキュリアの方が信頼できるとは、銀河の外交は複雑怪奇である。
我が帝国は、こうして無事にミッラン領の全2惑星への請求権を獲得したのである。
1.周辺の敵たち
2260年、現在。我々ヴァルキュリア神聖帝国は4つの敵対国に囲まれていた。
(緑色でハイライトされているのが敵国。)
それぞれの脅威を、順に確認していこう。
①ヤル連邦
北東で接する、ひきこもりイソギンチャク。ゲーム開始すぐから、ずっと敵対関係を続けている昔なじみ。
9つの惑星に84popの人口と、なかなかの国力を有している。
しかし、我々と比較してその艦隊戦力は「悲惨」であり、加えて彼らと国境を接する唯一の星系は、蛮族艦隊をも単独で退けたあの北東要塞が守っている。放置して良いだろう。
以前、我々の侵略目標としていたこともあり、その際に8惑星の請求権を作成していた。その気になれば残りの1惑星を追加請求してから侵略し、滅ぼしてしまう事も可能だ。
②オクシナベラ啓蒙君主国
我が国の西隣で、強い存在感を放つ覇権帝国。首の長いリトルグレイ。
まだ人口は89popだが、実に11もの惑星を所有しているので、これから国力を増大させる恐れがある。艦隊戦力もこちらと比べて「劣等」と、けっして油断はできないレベルだ。
2230年代後半から、我々の持つ星系の請求権をたびたび主張してきており、隙あらばこちらを侵略する意図があるのがありありと見える。ムカつく。
だが、もし彼らに宣戦した場合、彼らが防衛協定を結んでいる「星間クリサッカン理事会」という同等国とも、同時に戦わなくてはならなくなる。現状、ちょっと手が出せない。
③ミッラン国民連邦
北方に位置する、問題の新生民主主義国。ナナフシ虫人。
わずか2惑星(22pop)の小国だが、南のヘルヴァン(科学ダチョウ)と軍事同盟を組むわ、西のオクシナベラ(リトルグレイ)と不可侵条約&研究協定を結んでいるわと、明らかに我が国に対する包囲網を形成しようとしている。
④ヘルヴァン連邦制コロニーズ
我が国と南東で接する、異星人嫌いの科学ダチョウ。
一見、広い領土を持っているが、惑星は5つで人口64popとやや見かけ倒し。艦隊戦力比も「悲惨」。ただ、狂信的な物質主義者なので、テクノロジーレベルはなかなかのもの。
北のミッラン国民連邦と軍事同盟を結んでいるので、彼らと戦争になれば、我々は南北二面作戦を強いられることになる。
2.大方針会議
2261年1月。新年を祝う恒例の宗教行事を終えたヴァルキュリア首脳部の閣僚たちは、今後の国家方針を定めるための御前会議に出席していた。
帝国にとって目下の最大懸念は、ミッラン国民連邦を中心に形成されつつある対ヴァルキュリア包囲網である。すでに結成されたミッラン-へルヴァン同盟に、オクシナベラも参加するようなことがあれば、三方からの圧力に我が国は身動きがとれなくなるだろう。
先手をとって、この3ヵ国のどれかを叩かねばならない。
その背後に強力な同盟国をすでに確保しているオクシナベラ啓蒙君主国との戦争はリスクが高すぎるため、必然的にミッラン-へルヴァン同盟への攻撃計画が検討された。あの2ヶ国の艦隊戦力であれば、同時に両方を相手取ることは十二分に可能だと考えられる。
しかし、南北二面作戦に艦隊を派遣してがら空きとなったヴァルキュリア領域を、オクシナベラが西から侵攻してくる危険があった。かの国は、現に我々の領土に対する野心を露わにしている。先の戦争にて、艦隊の留守を蛮族に襲撃された苦い経験から、本国に戦力を残さない戦争計画には誰しも抵抗を抱いた。
そのとき、静かに会議を見守っていた女神帝ラトゥⅠ世が、おもむろに口を開いた。「では、ここに新たな要塞を築きましょう」と。彼女が星図で指し示したのは、ヘルヴァン連邦制コロニーズと我が国をつなぐ唯一の航路上にある星系だった。赤色巨星シルマーを中心とするその星系に大要塞を築けば、それだけでちょうどヤル連邦に対する北東要塞のような確固たる防備となる。
そのカリスマ性ばかり讃えられがちなラトゥⅠ世だが、実は防衛施設に関する深い知識と理解を持った「築城家」という一面もあった。そんな彼女らしいユニークな提言に、閣僚と軍高官たちは膝を打った。
ヘルヴァン領への侵略を今回は諦めることで南方に戦力を割かずにすむのなら、北のミッランに侵略艦隊を派遣しても、なお多くの艦隊が本国に残せる。西への睨みを利かせながら、ミッランの全2惑星とできる限りの星系を占領して素早く和平調停すれば、オクシナベラに我々に手を出す隙を与えることなく、ミッラン国民連邦を滅ぼすことができる。
この戦争計画は、畏れ多くも女神帝陛下の御名をお借りして「ラトゥⅠ世プラン」と名付けられた。
3.軍備拡張
御前会議から約半年後の、2261年7月。シルマー星系にて基礎的な宇宙港が完成し、「南東要塞」と命名された。
まだ射撃砲台も防衛プラットフォームの皆無の裸城なので、“要塞”と呼ぶのは気恥ずかしさがあったが、あと5~6年もすれば北東要塞に匹敵する規模となるだろう。
その時、ヴァルキュリアは再び侵略の狼煙を上げるのだ。
シルマー星系の要塞構築と同時に、それまで予備戦力だった第2艦隊は「ガーネット艦隊」と改称され、新任の「ドルン=タル・オルン」提督の指揮の下で、正規艦隊として戦力増強を開始した。
ドルン=タル・オルン提督は、48歳の男盛りである。アメジスト艦隊のインルーデン・ハロ提督も、兵站を重要視している点では彼と意見が合ったが、ずっと慎重な戦術をモットーとしてきた彼女にとって、考えが奇襲や奇策にすぐ走りがちなこの後任提督の登場は、心配のタネになりそうだった。
4.対けいおん外交
周囲を敵に囲まれている我が国にとって、数少ない友好国の1つである桜ケ丘高校けいおん部はかけがえのない存在だ。
彼女たちは、西のオクシナベラ(リトルグレイ)を共通の宿敵とする盟友である。帝国外務省は、2250年から省内に専門の部署「けいおん局」を設けて最高の人材を配置し、2251年に不可侵条約の、2256年に移民条約の締結を成功させてきた実績がある。
移民条約については、我々は臣民の自由な移民を一切認めていないし、戦乙女以外の異種族はすべて奴隷身分と規定しているヴァルキュリア帝国などに自分から移民してくるけいおん部国民もいるはずがないから、実際は有名無実化している。しかし、移民のやりとりこそないもの、それ以外の民間レベルの国際交流は着々と増えていて、それが両国の異質な文化の相互理解を着実に深めてくれていた。
その甲斐あってか、2260年6月にはけいおん部から研究協定のオファーがあり、我々もありがたく承諾した。
これら3協定のよって、けいおん部から我が国への「信頼」関係は現状望める最大のものとなった。
そこで帝国外務省は、最終目的である防衛協定を打診したのだが、これには承諾を得られなかった。なぜなら、けいおん部が例のイデオロギー戦争が勃発させる直前に、ゼスイナクス同盟(けなげなワシ)と結んだ防衛協定がまだ持続しているからだった。2カ国との防衛協定を同時に抱えることは政治的負担があまりにも大きいのだ(影響力の月産が-2になってしまう)、
けいおん部と防衛協定があれば、オクシナベラが我々に手を出す危険性は完全になくなるのだがが、両国の関係が「親密」になった現状だけで満足するしかないだろう。もしオクシナベラが我が国に宣戦布告をしてきた場合、けいおん部やゼスイナクス同盟から援軍を派遣して貰える可能性はそれなりに高いのだ。
ミッラン国民連邦の2惑星に対する請求権を主張する際も、我々はけいおん部政府の顔色を慎重にうかがった。なにせ、ミッランの持つ惑星すべてを請求するということは、けいおんが丸8年もの戦争を経て成立させた民主主義国家を、我々が滅ぼす意図があると暗示しているようなものなのただ。
幸いなことに、けいおん部の女子高生たちは、我々の意図をしぶしぶ黙認するようだった。彼女たちが正義の旗のもとに与えた完全に平等な社会も、貴族制に慣れ切った保守的なミッラン人たちには受け入れがたい異質の文化でしかなく、急に戦争をしかけてきて国土を蹂躙した女子高生に対する種族的な怨恨をさらに濃くするだけに終わっていた。
これならばいっそ、ミッラン人になじみのある貴族制であるヴァルキュリア神聖帝国が彼らを統治した方が、ミッラン人の民族意志に適うとは言えないだろうか?
帝国外務省けいおん局の外交官たちはそのような詭弁を弄して、異種族の文化・哲学を強く尊重する女子高生たちのメンタリティーに訴えかけたのだ。
倫理的な理屈抜きでも、けいおん部にとっても宿敵であるオクシナベラと急速に関係を深めつつあるミッラン国民連邦は、女子高生たちが信用できる相手ではなくなりつつあった。同じ政体のミッランより、まったく正反対のヴァルキュリアの方が信頼できるとは、銀河の外交は複雑怪奇である。
我が帝国は、こうして無事にミッラン領の全2惑星への請求権を獲得したのである。
2018-09-13 23:26
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