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「ヴァルキュリア戦記」16 [Stellaris AAR]

終わる戦争と終わらぬ戦争(2282~2285年)

1.反撃開始
 アードスカー星系での敗走から約半年後の、2282年5月。大きく傷ついたガーネット艦隊が、対ヤル連邦戦線の拠点となっている北東要塞に帰還した。
 防衛機能に特化している北東要塞には十分な工廠施設がないため、同艦隊は占領したばかりのベータ・ヒドリ星系ステーションへとさらに移動。そこで大規模な修理作業に入った。
 修理が完了しても、艦数を減らしたガーネット艦隊の戦力は、以前の70%未満に落ちこんでいた。このままでは、予想外の抵抗力を見せつけたヤル連邦宇宙軍との戦線を支えるのはどだい無理であるため、帝国軍司令部は本国に温存するはずだった予備艦隊を、ガーネット艦隊にすべて編入する決断を下した。
 即席建造中のウィンドチェイサー級コルベットの数がある程度そろうまで、彼らとアメジスト艦隊だけで戦い抜かなければならない。

 翌年の2283年、4月16日。敗退前と同程度の戦力を取り戻したガーネット艦隊は、彼らが戦線を空けていた間にビブハム星系の制宙権を奪還し、さらに地上侵攻軍を惑星降下させようとしていたヤル連邦主力艦隊「レッド・タイド」にリベンジマッチを挑んだ
 この前はあれほど慢心していたドルン=タル・オルン提督と軍司令部も、さすがに今度は慎重策を採った。ベータ・ヒドリ星系から別方面に進撃していたアメジスト艦隊を一時呼び戻して、2艦隊合同で戦闘を挑んだのである。
 リベンジマッチはたった1ヶ月半で終わった。レッド・タイド司令官「ウッブロス・ガンウェール」提督が、形勢不利と見るや早々に星系離脱したのである。こちらよりも多い損害を与えたとはいえ、この絶好のチャンスにさっさと敵に逃げられて、80%以上もの戦力を温存されてしまった結果は、戦略的失敗ともいえるだろう。
20180928134928_1.jpg
 なにはともあれ、敵司令官であるガンウェール提督の決断の確かさと早さは賞賛に値する。その経歴だけを見て「実戦経験のないお飾り」呼ばわりしたドルン提督以下のヴァルキュリア将兵は、自分の想像力の浅さを反省するべきだ。
 ヤル連邦との戦況はやや持ち直してきたが、その代わりに本国を防衛する艦隊戦力がまたもやなくなっている現状を忘れてはならない。そのため、帝国軍情報部はヤル連邦以外の外敵に対する神経をとがらせた。
 すぐ西隣のオクシナベラ啓蒙君主国は現在も桜ケ丘高校けいおん部と全面戦争のただ中にあり(劣勢のようだ)、南東のヘルヴァン連邦制コロニーは我が軍の南東要塞を突破できるような戦力を国境沿いに配置していない。念のため、テバゾイド・ツムバトルの両蛮族にも探りを入れてみたが(彼らは意外と文明国からのコンタクトを拒まない)、どちらも現在は他の方面への略奪に忙しいとのことだった。
 問題は、南西の大国「星間クリサッカン理事会」である。オクシナベラと軍事同盟国である彼らも、けいおん部との防衛協定国であるゼクイナス同盟と戦争状態にあるのだが、劣勢な同盟国と反対にクリサッカンの方はゼクイナスを一方的に攻め立てている模様である。彼らがこのままゼクイナス軍を撃滅してしまったら、勢いに乗じて振り上げた拳をそのままヴァルキュリアへと向ける恐れがあった。
 これが我々の単なる被害妄想ではない証拠に、2283年7月27日、まだゼクイナスと戦争中であるはずの星間クリサッカン理事会は、ヴァルキュリア神聖帝国に対して公然と宿敵宣言してきた。「次の獲物はお前たちだ」と言わんばかりの態度である。
クリサッカンから宿敵宣言.jpg
 この脅威に対処すべく、帝国は艦隊戦力拡大で手一杯の資源の一部をやりくりして、クリサッカンとの国境星系に設置していた宇宙ステーションの要塞化を開始。先例に倣って「南西要塞」と名付けられたまだ貧弱な国防の砦は、死に物狂いで増強を始めた。

2.4ヶ国大戦の終結
 2284年、10月17日。けいおん=ゼクイナスvsオクシナベラ=クリサッカンの4ヶ国大戦が終結したとの報告が届いた。

 けいおん軍に国内を蹂躙されたオクシナベラ啓蒙君主国は、専制統治に反対する平等主義政治グループの独立を承認させられた。けいおん軍に占領されていた1惑星と4星系は彼ら独立勢力へと移譲され、ここにオクスブラキによる民主主義国家「オクスブラキ聖会議」が建国されたのだった。
(直接に戦火を交えた女子高生たちへはやはり反感があるらしく、けいおん部の受容主義ではなく、ゼクイナス同盟の精神主義を受け継いでいる。)
 オクスブラキ聖会議はその誕生とほぼ同時に、その政治理念的な生みの親であるゼクイナス同盟と不可侵条約と移民協定を締結し、両国が“親子”であることを明確に表明した。さらに、両種族が血を流し合った過去を水に流して、桜ケ丘高校けいおん部とも不可侵条約を締結した。けいおん=ゼクイナスの民主主義連合に、新たなメンバーが加わる日もそう遠くはないだろう。
 一方で、旧来の世襲貴族支配体制をますます強めている我々ヴァルキュリア神聖帝国に対しては、国境を封鎖してきた。過去の戦争による種族的な怨恨があるとはいえ、いきなりなご挨拶である。
オクスブラキから国境閉鎖.jpg(建国してすぐなのに「長すぎた」も何もない。)

 そんなオクスブラキ聖会議に同調するかのように、桜ケ丘高校けいおん部もとうとうヴァルキュリアを冷淡視しはじめていた
 帝国内で興った民主化活動の芽を我々が秘密裏に摘み取った事実がバレはじめた(永遠に隠し通せる秘密は存在しない)ためでもあるが、なにより彼女たちがオクシナベラ=クリサッカン同盟から戦争を仕掛けられる直前に、その危機感から我々に助けを求めたのに断られた失望がかなり強く尾を引いているようだった。しかも、一度参戦を断っておきながら、いざ戦争がはじまると便乗して単独宣戦をした上に、欲しい領域をかすめ獲るやすぐに休戦して「いち抜けた」を決め込んだヴァルキュリアを、以前と同じように信頼しろというのも無理なハナシであろう。
 その結果、けいおん部は2284年11月2日に移民条約を一方的に破棄してきた
けいおんから移民条約破棄.jpg(そのかわいい顔で言われるとキツい・・・ 。)
 誇り高い我ら戦乙女としては確かに屈辱的な破断であったが、理性的に見れば不可侵条約まで反故にされなかっただけでも御の字と言えた。もともと実際には機能していない名目だけの移民条約であったし、これで女子高生たちとの交流が減って彼女たちの平等思想にかぶれる戦乙女も少なくなるだろう。むしろ、心配の種がひとつ減ったと喜ぶべきである。

 一方で、喜ぶべき要素が見当たらないのが、ゼクイナス同盟の大敗である。クリサッカン軍に圧倒された彼らは、実に4星系もの領域を割譲させられていた。
4か国大戦後.jpg(4ヶ国大戦後の勢力図。クリサッカンが大きく勢力を北に伸ばして、ゼクイナス領を東西に分断してしまっている。また、オクシナベラ勢力圏内部に、オクスブラキ聖会議領が誕生しているのがわかる。)
 クリサッカンの軍事力が帝国軍情報部の見立てよりもずっと優れていた事実がこれで明らかになったワケだが、盟友であるはずのけいおん軍が自分たちの戦線にかまけて一切救援に来なかった事も大きな要因だ。同じ平等主義を理想とする民主制国家同士とはいえ、伝統的な宗教を遵守するゼクイナスと進歩的なけいおん部とでは、やはり目に見えない溝があるのだろうか。
 しかし、けいおん部とゼクイナスとの関係性はどうでもよい。ヴァルキュリアにとっては、最新の宿敵であるクリサッカンが戦争に大勝して勢いを増している事実こそ重大だった。

 「ヤロニアンどもにこれほど手こずってさえいなければ・・・」。その種族名どおり何事も戦さを主軸に考える戦乙女たちは、そう想って臍をかんでいた。ヤル連邦との戦争が優勢だったのなら、けいおん部に愛想を尽かされることも、クリサッカンなどにナメられることもなかっただろうに・・・という、いわば「戦争に勝っていればすべてうまくいく」理論が染みついているのである。
 戦乙女たちのマッチョ理論の是非はおいておくとして、対ヤル連邦戦争はいよいよ泥沼の態を明らかにしつつあった。2284年11月9日から2285年2月23日にわたって行われたペコナヤル星系会戦においても、宇宙ステーションとコルベット8隻だけという小規模な敵戦力を撃滅するために、ガーネット艦隊はまたもや多数の損害を出していた。すでに覚悟していた事とはいえ、失われていく人命の多さは楽な勝ち戦に慣れた戦乙女たちに大きなショックを与えていた

 2281年1月に始まった全面戦争は、5年がすぎた2286年を迎えた現在でも、その終わりが見えていない。ヴァルキュリアの民たちは宇宙に進出して初めて、戦争というものに倦み疲れていた。
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コメント 3

まぷ

いつも楽しみにしてます
by まぷ (2018-10-07 08:07) 

さりえり

>いつも楽しみにしてます

ありがとうございます。今度、お礼します。現金払いがイイですか?(笑)
by さりえり (2018-10-07 20:32) 

まぷ

GM払いで!
by まぷ (2018-10-08 04:54) 

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